ワーサー王列伝

主にプログラミング?

明解TS入門➂

この記事は、徒然 Advent Calendar 2020 - Adventar の17日目の記事となっております

 

投稿遅れてすみません、美空ひばりの息子です。

本日も明解TS入門やっていきたいと思います。

 

 

卒論を放り出して丸一日かけて何とか書きました。

至らぬ点もあるかもしれませんが、ぜひとも読んでいただけると嬉しいです。

 

それでは、本編の方、どうぞ。

 

***

 

友「君しか見えないんだ」3話


女「友ちゃん?話って何?急に呼ばれてびっくりしちゃった」

友「ごめんね、なかなかタイミングなくって」

女「?そういえば、男はいないの?いつも一緒にいるのに」

友「......うん、男は、先生に頼まれごとされてていないんだ」

女「そう......」

友「じゃあ、早速用件なんだけど」

女「うん、どうしたの」

友「女さんって......男のこと、好きだよね?」

 

女「......ええ!?急になんの話!?男が好きって、私が?」

友「うん」

女「えーっと、友ちゃんは普段の私と男の会話を聞いてるわよね?」

友「うん」

女「自分で言うのもなんだけど、私結構男にひどい態度取っちゃってるわよね、嫌いならまだしも、好きってことはないんじゃないかしら?」

友「......でも、女さんがあんな態度取るのは、男の前だけだよね?」

女「それは......あいつがいっつも友ちゃんとの会話の邪魔をするから......」

友「でも、女さんが僕に話しかけてくれる時は、決まって男が一緒にいるときだよね?」

女「......最近は友ちゃんがずっと男といるから、そう思うだけだよ......」

 

友「さっきから僕のことばっかり理由に出すけど、僕の存在を言い訳にしてるだけなんじゃないの?」

女「そんな......!私は......友ちゃんと仲良くしたくて......」

友「僕だって、仲良くやりたいさ、だからこそ正直に答えて欲しい」

女「でも、友ちゃんは......」

友「答えて」

女「......」

友「答えてよ」

女「............まだ......分からないのよ」

 

女「私は、自分がそうしたいから、友ちゃんと仲良くなろうとしたし、今の委員会に入ったんだと思ってた」

友「......」

女「でも、友ちゃんの隣にも、委員会にもあいつがいて......気付いたら、あいつのことが頭から離れなくなってた」

友「......うん」

女「それが何だか、私の頭を私じゃない誰かに操られているみたいで、怖くて、煩わしくて」

女「それで、突き放そうとしても、その後考えるのはあいつのことばっかりで......」

女「あいつのこと考えると、私が私じゃないみたいで、どう思ってるのか、分からないの......」

 

女「......」

友「......正直な気持ちを言ってくれてありがとう、問い詰めるような真似してごめんね」

女「うん......」

友「女さん自身で気持ちを整理して、答えを出してほしいけど、僕から一つだけ、お願いがあるんだ」

女「お願い?」

友「聞いてくれるかな?」

女「もちろん......私と友ちゃんの仲......でしょ?」

友「ありがとう......お願いっていうのはね......」

 

ーーー

男「友、昇降口着いたぞ、その段差気をつけてな」

友「うーん、もう大丈夫だよ男、目が見えなくなってから十何回もここで上履き履いてるんだから」

男「そうか?いや、なんか見る側としては全然慣れなくてな......正直不安でしょうがない」

友「もー、補助する方が何でそんなに弱気なのさ、もう校舎内だったら杖だけで問題なく歩けるから」

男「そうは言ってもなー、人もたくさんいるしなー」

友「はぁ......男も僕に付きっきりって訳にもいかないんだから、多少は僕のことを信じてくれてもいいんじゃない?」

男「いや、今までもかなり付きっきりだけど、俺は全然問題ないぞ」

友「......男、最近僕以外の友達と話してる?」

 

男「えっ?いや確かにクラスメイトと話す時間は結構減ったけど」

友「いつまでもそういう訳にもいかないでしょ?このままだと、男も僕以外に友達がいなくなっちゃうよ」

男「いやいや、あいつらも、こんな状況だし分かってくれるだろ」

友「......この前、男がトイレ行ってるときに、男が付き合い悪くなったって言ってる人もいたし」

男「まー、ある程度は仕方ないよな」

友「仕方ないって......僕もう一人で迎えの車に乗るくらいできるんだから、男も誰かと放課後遊びに行ったりできるでしょ?」

男「いや、お前が無事に車に乗るかを確認せずに遊びになんか行った日には、気になりすぎて俺が車に轢かれるわ」

友「うーん......心配してくれるのは嬉しいけど、これは重症だなぁ......」

 

男「それに、俺もお前も良く話すやつが一人増えただろ、俺は友達ってほどじゃないかもしれんが。なぁ、女」

友「えっ?」

女「あっ、友ちゃん、男、おはよう、偶然ね!」アセアセ

友「女さん、ごめん気付かなかったよ、おはよう」

男「まあ、いま来たからな」

女「えーっと、挨拶して早速で悪いんだけど、わ、私先に教室行ってるね」

男「おう、そうか、何か用事でもあるのか?」

女「あんたには関係ないで......」

友「女さん?」

女「っ......ちょっとした用事よ......じゃあ、私は先行くからね」スタスタスタ

男「おう、またなー」

友「何だか急いでたね?」

男「そうだな、何かちょっと様子おかしかったし」

友「もしかして、避けられてるんじゃない?こんな調子で、良く話す一人に女さんをカウントできるのかな?」

男「いやいやいや、昨日までは普通に話してただろ!」

 

ーーー

キーンコーン カーンコーン

男「ふー、終わった終わった、今日も授業終わりっと」

友「お疲れ様、今日もありがとね」

男「おう、そっちもお疲れさん」

友「えーっと、今日は男は委員会なんだっけ?」

男「あー、そうだったな......友はもう迎えきてんのか?」

友「ううん、今日はお父さんが来るらしいから、まだ着いてないと思う」

男「そうか......委員会、一緒に来るか?一人で教室で待たせちまうのもあれだし......」

友「......僕は教室で待ってるよ、僕が行ったら何か変な雰囲気になっちゃうでしょ?」

男「そんな気にされないとは思うが......それなら、多分1時間はかからないと思うし、教室で待っててもらっていいか?」

友「うん、僕は全然大丈夫だよ」

男「おっけい、じゃあ女に声かけて行ってくるわ」

友「......うん、行ってらっしゃい」

 

男「おーい、女、今日は委員会何処であるんだっけ?」

女「っ!......あ、ああ、男、あなたから声かけてくるなんて、珍しいわね」

男「いや、すまん、いつも直前まで忘れちまっててな、今日も友に言われなきゃ帰ろうとしてたかも」

女「......はぁ、いつになってもあなたは友ちゃんに頼りきりって訳ね」

男「返す言葉もございません」

女「友ちゃんは......教室で待ってもらうの?」

男「そうだな、まあ、友がそうするって言ってくれたしな」

女「......そう」

男「それより、場所はいつものとこか?」

女「そうね、前と同じ別棟の教室よ」

男「了解、じゃあ行きますか」

 

男「......」スタスタ

女「......」スタスタ

男「......そういえばさ」

女「......何?」

男「昨日、俺が先生に雑用頼まれて教室戻ったとき、友と女二人だけで教室にいたけど、何か話してたのか?」

女「そうね......偶然、私が教室に忘れ物しちゃって......」

男「なるほどな、何話してたんだ?」

女「......それは......」

 

===

友「女さん自身で気持ちを整理して、答えを出してほしいけど、僕から一つだけ、お願いがあるんだ」

女「お願い?」

友「聞いてくれるかな?」

女「もちろん......私と友ちゃんの仲......でしょ?」

友「ありがとう......お願いっていうのはね......」

 

友「女さんに......男の......恋人になってほしいんだ」

 

女「......え?男と、私が?恋人?」

友「そう、お願いしてもいいかな?」

女「えっと、いや、私てっきり......」

友「てっきり?」

女「......友ちゃんが、男のこと好きなんじゃないかって」

友「あはは!僕が?」

女「うん......だって、友ちゃん、誰よりも男のこと知ってて、男のこと信頼してるし」

友「幼馴染みだからだよ、付き合い長いしね」

女「でも、目のことがあってから、すごく距離も縮まってるし......」

友「......そんなんじゃないよ、それに、そんなこと、あっちゃいけないしね」

女「いけないって、そんな......」

友「とにかく、僕のことはいいから、女さんに、男の恋人になってほしいんだよ」

 

女「......それは、どうして?」

友「......僕の目が見えなくなってから、男、完全に僕に付きっきりで、これまでいた友達とも、全然話さなくなっちゃって」

友「このままだと、僕のせいで男が一人ぼっちになっちゃうかもしれないって」

女「そんな......それは友ちゃんが気にすることじゃ」

友「どうしても、僕が気にしちゃうんだよ」

女「......それで、何で私なの?」

友「もちろん、男との距離が僕以外で一番近いからっていうのもあるけど」

友「何よりも、女さんが優しいからかな」

女「そんな、私、ひどいこと言ってばっかりよ......」

友「本当に突き放そうとしてるときもあるかもしれないけどさ、嫌われるかもしれないのを分かってて、男や僕のために、わざと強い口調で男に注意できるのは、女さんの優しさだと思ってるんだ」

 

友「僕の目が見えなくなったときも、男以外のクラスメイトで本当に心配してくれたのは女さんだけだしね」

女「......ありがとう、本当の気持ちで友ちゃんがそう言ってくれるなら、嬉しい」

友「うん、本当にそう思ってるからこそ、女さんにお願いしたいんだ、男のこと」

女「............分かったわ......男が、私のことどう思ってくれてるか分からないけど、もう少し真剣に男への気持ちに向き合ってみようと思う」

友「ありがとう、上手くいくよう、僕も応援するよ」

===

 

女「......なんてこと話してたって、言えるわけなわよね......」ボソッ

男「えーっと、まあ、答えずらいことなら別に無理して言わなくてもいいが」

女「いや、何てことないわよ、男は相当成績悪いから先生に雑用なんかさせられるのねーって」

男「いやいや、そういう訳じゃないからな!友のおかげで最近は授業もちゃんと聞いてるし!」

女「へぇ、それは次のテストの点数に期待ね」

男「まあ、そうだな、テストで結果出さなければ成績も上がらないからな......」

女「くれぐれも留年なんてことがないようにね」

男「いや、そこまではひどくない......はず」

女「なんか頼りないわね......いざってときに困るのは友ちゃんなんだからね」

男「確かに......肝に命じます」

 

女「......でも、やっぱり特殊よね、あなたたちの関係」

男「ん?俺と友か?」

女「そうね、幼馴染とはいえ、異性の二人としては仲良すぎないかしら?かといって、恋人みたいな雰囲気でもないし」

男「あー、周りからはそう見えるよな」

女「友ちゃんの目が見えなくなってからは、人目をはばからずに教室でいちゃいちゃし始めたけど」

男「ちょっと待ってくれ!心当たりがありすぎるが違うんだ!」

女「ふふ、何よそれ」

男「はぁ......まあ何だかんだ友とは、親友みたいなもんだよ」

 

女「本当に?友に対して恋愛感情はないってこと?」

男「れっ.....恋愛感情って、なかなか踏み込んだこと聞いてくるな......」

女「こんなこと聞くことないしさ、友ちゃんの友達としてもそこらへん知っときたいのよ」

男「としても、ってことは他に知りたい理由があるってことか?」

女「っ!......た、ただの興味よ!女子はみんな好きなのよ、恋バナ」

男「お、おう......そんなもんか」

女「じ、実際のところどうなのよ、さっさと答えなさい」

男「いやまあ、そりゃもちろん恋愛感情はないんだけどな」

男(ちょっと前まで男友達だったからな)

女「......もちろんって、そんな即答するほどなの?」

男「信じてもらえるかは微妙だけど、ほんとに考えたことないんだよ、そういうこと」

 

女「そう......改めて不思議な関係ね」

男「まあ、周りから見たら、そりゃそうだよなぁ」

女「?」

男「ちょっと訳があるんだよ、人に話してもしょうがないけどな」

女「それって......」

男「ほら、教室着いたぞ、ここだよな?」

女「......そうね、入りましょ」

 

ーーー

男「友、戻ったぞー」

友「おかえり、女さんは?」

男「もう少し仕事してくってさ、結構まじめだよな、あいつ」

友「あはは、そうだね......置いて行っちゃって良かったの?」

男「手伝うって言ったら、友ちゃんが待ってるんでしょって」

友「女さんらしいね......ほんとに」

男「ああ、ほんとに、気を遣わせてばっかりだな」

 

男「車はまだ来てないのか?」

友「そうだね、まだ少しかかりそうかも」

男「そうか、仕事、大変なんだな」

友「うん、そうみたい......」

男「......」

友「......」

男「さっきさ、女に聞かれたんだけどな」

友「うん」

男「俺たちの関係がさ、不思議に見えたらしくて、俺が友をどう思ってるかって」

友「あー、なるほど」

 

友「男は何て答えたの?」

男「いや、お前が男だったことは伏せて......恋愛対象としては考えたことないって」

友「......ふーん、僕のことは言わなかったんだ」

男「男だったことは、話すとしてもお前がいるときにしようかなって」

友「まあ、男の話だけじゃ信じてもらえるか分からないしね」

男「そりゃそうだな」

友「でも、そうだよね、今は僕たちずっと一緒にいるし、恋人同士、もしくはお互いそういう気持ちを持ってると思われちゃうよね......」

男「俺も、他に俺らと同じことしてる男女二人が居たらそう思うだろうな」

 

男「......友は、どうしたいんだ?これから」

友「これからって?」

男「いや......女として、誰かと恋愛したりする気はあるのか、とか」

友「うーん、男の人と恋愛できるかって言われちゃうと、かなり抵抗あるし......それに、目が見えない状態で、男の人に気を許すのは、すごく怖いよ」

男「まあそうだよな」

友「そもそも、今は目のこともあるし、そんな余裕はない......かな」

男「......そうだな、すまん、こんなこと聞くべきじゃなかったな」

友「ううん、気にしないで」

 

友「男はさ、女さんのことどう思ってるの?」

男「それは、恋愛的な意味で、だよな?」

友「うん、そうだね」

男「そうだな......あんまり考えたことないけど......」

男「いいやつだよな、しっかりしてるし。俺にはもったいないぐらい」

友「......うん」

男「友が目が見えなくなってはじめて学校に来た日から、改めて女と知り合えて良かったと思ったよ」

友「そっか、それは......良かった」

男「ん?良かった?」

友「いや、何でもない......あ、通知が来たから、お父さんもう着いたかも、そろそろ行こうか」

男「ん、おう、よしじゃあ帰りますか」

 

ーーー

キーンコーン カーンコーン

男「ふー、今日もやっと昼休みかー」

友「お疲れ、そろそろテストも近くなってきて、授業もペース上がってきたね」

男「そうだな......まあでも、とりあえず昼めし食おうぜ、今日も弁当作ってもらってるんだっけ?」

友「うん、今日もしっかり二人分あるよ」

男「よしっ、じゃあ早速食べるか」

友「......えっと、今日は場所変えてもいいかな?」

男「ん?いいけど......また屋上か?」

友「うん、そうしたいかな」

男「了解、じゃあ行くか」

 

扉 ギィー

男「よし、着いたぞ、こっちこっち」

友「もう、何度も来てるんだから、大丈夫だよ」

男「そうか?......何か今日は人少ないな、結構曇ってるし、雨降るかもって感じか」

友「そっか、今日は曇り時々雨って予報だったね」

男「そうだったっけ?」

友「そもそも男は天気予報なんか見ないでしょ」

男「......まあ、それもそうだな」

友「ベンチ、何処が空いてる?」

男「大体空いてるけど、こっち行くか」クイッ

友「ん、分かった」

 

男「友って、屋上とか好きだったっけ?最近よくここで飯食ってるけど」

友「うーん、目が見えてた頃はそんなでもなかったかな?けっこう高所恐怖症気味だったし」

男「へー、何か好きになる理由があったのか?」

友「教室ほど騒がしくならないし、風が気持ちよくって、悪くないかもって」

男「確かに、今日くらいの風だったら気持ちいいかもな」

友「でしょ、ちょっとだけ今日はじめじめしてるけど」

 

男「じゃあ、早速弁当食うか」

友「そうだね」

男「えーっと......ミートボールあるけど、食べるの手伝った方がいいか?」

友「いや、流石にもう大丈夫だよ......お弁当のおかずの配置も同じにしてくれてるし、一人で食べれるって」

男「そっか......まあ安心したけど、なんか寂しくもあるな」

友「......なんか子供扱いしてない?」

男「いやいや、別にそういう訳じゃないけど」

友「......どんどん一人でも色々出来るようになるんだから、男もいつまでも僕に構う必要ないんだからね」

男「うおお、友がさらに寂しいことを言ってきやがる」

 

友「はぁ......でも本当に、何度も言ってるけど、男は男のやりたい事があるんだったら、それを優先していいんだからね?」

男「分かってるって、やりたいことあったら言うようにするから、友は気にすんなよ」

友「............そうやって、いつも男が気を遣ってばっかりじゃん......」ボソッ

男「あー、いや、じゃあ一つ頼んでもいいか?」

友「......なに?」

男「ほら、今度の土日、友の目の定期検診があるだろ、それに着いていってもいいか?」

友「どうして?」

男「いや、最近学校では一緒にいることが増えたけどさ、休日は遊ぶこともなくなっただろ?検診が終わったらさ、久々にゲーセンなりカラオケにでも行ってみないか?」

友「っ......確かに、最近は休日に遊んだりしてないけど」

男「そうだろ?ゲーセンとかでもさ、今の友が楽しめるゲームがあるかもしれないしさ、久々に行ったら楽しいと思うんだよ」

 

友「............でも、いろいろ不自由があったら、また男に迷惑かけちゃうし」

男「いやいや、大丈夫だって、俺も色々事前に考えとくしさ」

友「違うって......やっぱり、休日くらいは、僕のことなんか忘れてさ、ゆっくり休むべきなんだよ」

男「そんな言い方しなくても......ほら、ただ俺が友と休日に遊びたいだけってことでさ」

友「違う、違うよ、おかしいよ、毎日目が見えない僕の世話ばかりさせられて、嫌じゃないはずないんだ」

男「お、おい、友?」

友「嫌なら嫌って言ってよ!男が僕の幸せを考えてくれるのと同じくらい、僕だって男の幸せを邪魔したくない!」

男「おい、大丈夫か、落ち着けって」

友「僕がいたら、だめじゃん、全然、男、幸せに、なれないじゃん......」

男「全然そんなこと思ってないから、な、大丈夫だよ」

友「そうやって、優しい言葉ばっかり......僕もう、どうすればいいか分からないよ」

 

男「......」

友「......」

ポツポツ

男「......雨、やっぱり降ってきたか」

友「......」

男「......友、とりあえず、教室戻ろう」

友「......うん」

男「立てるか?」

友「......うん」スッ

男「行こう」

友「......ごめん」

男「......」

 

ーーー

キーンコーン カーンコーン

男「......この後、今日も委員会なんだけどさ、友はどうする?」

友「......図書室行って待ってるよ」

男「そっか、了解」

女「男、今日の委員会、忘れてないわよね......?」

男「おお、女、今日はちゃんと覚えてたぞ」

女「......いつもの空き教室でやるみたいだけど、すぐ行けそう?」

男「いや、ちょっと友を図書室に送ってから行く」

友「......大丈夫、男、もう道覚えてるから、一人で行くよ......」フラフラ

男「お、おい、友?女、悪い、俺は友追いかけるから、先委員会行っててくれ」

女「え、ええ、分かったわ」

 

男「おーい、友、ほんとに大丈夫か?」

友「......そう言ってるでしょ。もういちいちついてこなくても大丈夫だよ」

男「一応ついて行かせてくれ、これで委員会に遅れるわけでもないし」

友「......はぁ、もう好きにしてよ」

男「......お、おい、友」

友「......」

男「......」

友「図書室、この扉でしょ?」

男「あ、ああ、そうだな」

友「じゃあここで待ってるから、委員会、頑張って......」

男「......おう、じゃあまた」

 

ーーー

扉 ガラガラ

男「はぁ......やっと教室に戻ってこれたな」

女「......そうね」

男「ちょっと長引いちまったけど、友まだ図書室にいるかね?」

女「......」

男「女?大丈夫か?何かボーっとしてるけど」

女「え!ええ、大丈夫よ、何も問題ないわ......」

男「そうか?それじゃあ俺は図書室行くから、また明日な」スタスタ

 

女「......ちょっと待って」ボソッ

男「え?何か言ったか?」クルッ

女「ちょっと......待ちなさい」

男「待てって、図書室に行くのをか?」

女「......そうよ」

男「どうしたんだよ?何か用事でもあるのか?」

女「......そう、今日こそはって、心に決めたんだから......」

男「?」

女「......聞いて欲しい......話があるの」

 

 

 

 

 

 

 

 


扉 ガタッ

 

 

***

 

こんだけ書いても、通して読んでみると急展開に見えてしまうのは何故......。

来週こそ12/24(木)に更新する予定ですので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。