ワーサー王列伝

主にプログラミング?

明解TS入門②

この記事は、徒然 Advent Calendar 2020 - Adventar の10日目の記事となっております

 

ご無沙汰していません、どうもメイク前のババアです。

本日も明解TS入門やっていきたいと思います。

 

 

今回は起承転結の『承』ということで、前回築き上げた土台の上で、やりたい放題やってみたという印象です。

ある意味ではTSものの恋愛の良さが一番出せる話なのかなとも思っています。是非ともご一読いただけると嬉しいです。

また、新キャラも出てきますので、そのあたりもご注目下さい。

それでは、本編の方、どうぞ。

 

***

 

友「君しか見えないんだ」2話

 

男「......友、そろそろ学校着くぞ」

友「うん、分かった」

男「ほら、これ杖な、カバンは俺が持ってくから」

友「うん、ありがとう、男」

男「......はぁ、なんだか緊張するな」

友「えぇ......なんで男が緊張するんだよ......久々に学校行くのは僕なんだけど」

男「いやぁ、ちゃんと友をエスコートできるかなって」

友「エスコートって......そんなに気張ることないよ、一緒に歩く練習もたくさんしたでしょ?」

男「確かにそうだな、俺達ならフルマラソンだって余裕かもしれん」

友「いやいや、何でいっつも急にそんな強気になるのさ.......」

 

友「......でも、改めてありがとね。男がいなきゃ、僕、また学校に通うことなんて出来なかったよ」

男「生徒の俺ができる限り補助するっていう条件付きで、復学を許可してもらえるなんて……先生方に感謝だな」

友「うーん、でも僕は男が熱心に説得してくれたからこそ実現したって聞いたんだけど」

男「……そんなこともあったような」

友「ねー、お母さん」

友母「いやー、あのときの男くんはカッコよかったわよー、昔の夫を思い出したわ」

男「ちょっと!友母さん!」

友母「ふふ、お義母さんって呼んだくれてもいいのよ」

男「......っ、運転に集中してください!」

 

友母「学校着いたわよ、男くん、友をお願いね」

男「はい、任されました......友、行こう」ギュッ

友「うん、手、離さないでね」

男「おう、こっちだぞ」

友「あっ!」ツルッ

男「えっ!」ボフッ

友「......//」

男「お、おい大丈夫か?いきなりコケて来るなんて」

友「う、うん......ありがと......」モゴモゴ

友母「あらやだ、あの子たち学校の前で抱き合ってるわ......最近の子は大胆ね......」

 

男「なんだか先が思いやられるな......」

友「ごめん、思ったよりも段差があって」

男「いや、こちらこそ配慮不足だった、お互い調整していかないとな」

友「そうだね、頑張ろう」

男「まさか、女子の制服を着たお前と一緒に手を繋ぎながら学校に通う日が来るなんてな」

友「女の子なんだから、女子の制服を着るのは当たり前だよ」

男「うーん、俺はまだ違和感あるなぁ、顔つき自体はそこまで変わってないし」

友「そうなの?自分じゃ分からないけど......制服、似合ってない?」

男「あー、いや、かなり似合ってるのもまた違和感だな」

友「あはは、何だよそれ」

 

男「そういや、クラスのやつらも友のこと元々女だったと思ってるみたいだぞ、お前が休んで男どもが残念がってる光景はなんか薄気味悪かったわ」

友「へ、へぇ......そんな背筋が寒くなることがあったとは知らなかったけど、僕が女として認識されてるのは知ってたよ」

男「そうなのか?」

友「うん、心配して連絡してくれた子もいて、それで気付いたんだ」

男「へぇ、誰が連絡してきたんd……」グイッ

女「久しぶりー!友ちゃーん!」

友「その声は……女さん、この前は連絡ありがとう」

女「ほんとに心配したんだからね!もう会えないかもしれないって思ったらいてもたってもいられなくて...…」

友「心配させてごめん、でもこの通りなんともないから」

女「良かった......また会えて本当に嬉しい……」

 

男「おい!俺を押しのけた上に無視してんじゃねえ!今ので友がつられて倒れたらどうすんだよ!」

女「あら、いたの?友ちゃんが見えてから夢中で、全然気付かなかったわ」

男「いや、気付いてない訳ないだろ、がっつり肩掴んで重心ずらしに来たじゃねぇか」

女「うるさいわね、気付いてないものは仕方ないじゃない。それに、ちゃんと友ちゃんに当たらないよう倒したんだから文句ないでしょ」

男「ちゃんと気付いた上で倒しにきてるじゃねぇか!」

友「えっと......大丈夫?怪我とかしてない?」

男「ん、ああ、全然問題ないぞ」

女「あっ......心配させてごめん、友ちゃん」

友「いや、謝らないで女さん、男が無事なら全然構わないよ」

男「ついでに俺にも謝罪の言葉があってもいいと思うけどな」

女「あなたが私の邪魔をしてたんでしょ?」

男「は?」

女「あ?」

友「あはは」

 

女「はぁ......まあ、友ちゃんのついでにあなたにも挨拶くらいくれてやるわ。おはよう、今日もよろしくね」

友「おはよう、女さん、こちらこそよろしく」

男「ありがたく受け取っておこう、受け取るだけだがな」

女「......子供ね」ボソッ

男「あ?」

女「じゃあ私は今日日直だから先に行くわね、しっかり友ちゃんを送りなさいよ」

男「はいはい、任せてさっさと行ってくれ」

女「じゃあね友ちゃん」ノシ

友「うん、また教室でー」

 

男「はぁ」

友「あはは、何か嵐みたいに過ぎて行っちゃったね」

男「そうだな......連絡してたのってもしかしてあいつか?」

友「うん、そうだね......僕が学校を休んだ初めの日にすぐ連絡をくれたんだ」

男「はー、なるほどなぁ......そういえば、友は目が見えなくなってからどうやって連絡してるんだ?」

友「えーっと、最初の日はスマートフォン音声認識を使って何とかって感じかな......」

男「言われてみれば、友にしては文面がそっけなかったような」

友「最近は見えなくても少し操作できるようになってきたけど......読み上げ機能とかもあって、結構便利なんだ」

男「なるほど、便利な世の中になってるんだな」

友「目が見えなくなって逆に気付くことがあるとは思わなかったよ」

男「......そうだな、見えてるつもりでも、本当は見えてないことが世の中たくさんあるのかもな」

友「んー、珍しく難しいこと言うじゃん」

男「珍しくは余計だ」

 

男「......なぁ、友と女ってさっきみたいに話すような仲だったっけ?」

友「いや、男と3人で話すことはあったけど、個別に連絡し合うほどじゃなかったかな」

男「性別の認識が書き換わって、交友関係も少し変わったのかね?」

友「そうだと思う......あんまり認識するタイミングはなかったけど」

男「......あー、何というか、お前......」

友「友達が少ないのは相変わらずみたいだね」

男「友は、一人でいるといっつも本読んでるし、結構近寄りがたいオーラ出すからな......」

友「そういう男こそ、女さんと冗談言い合うような仲だったんだね?」

男「あー......委員会とかで何故か一緒にいることは多いからな、偶然だけど」

友「ふーん......」

 

ガヤガヤ

男「そろそろ教室着くけど、大丈夫か?」

友「うん、いつも通り入れば大丈夫だよね」

男「そうだな、先生を通してみんなには話は通ってるから」

友「わかった、じゃあ扉開けてもらってもいい?」

男「おう」

扉 ガラガラガラ

男「おーっす......」スタスタ

友「おはよう......」トタトタ

クラスメイト「......」シーン

男(おー、思ったよりも静かになったな......そりゃ、何て声かけたらいいのか分からない気持ちも分かるが......)

友「......」

男「えーっと、お前の席g......」グイッ

女「友ちゃーん!さっきぶり、おはよー!」

 

友「あ、女さん、おはよう」

女「知ってた?友ちゃんの席がね、前と変ってるの」

男「おい!お前はいちいち俺をどけないと話が出来んのか!」

女「うるさいわね、私は友ちゃんと話してるのよ」

男「普通に話しかければいいじゃねぇか、ロッカーに頭ぶつけそうになったぞ」

女「......ぶつければ良かったのに」ボソッ

男「あ?」

女「は?」

友「え、えーっと、結局僕はどこに座ればいいのかな?」

 

男「そうだった、先生が気を利かせて、一応俺の隣の席になったんだよ」

女「板書の内容も口頭で伝えなきゃいけないし、何かあったときのためにってことでね」

男「そういうことだ」

友「そうだったんだ、ごめん、手間かけさせちゃうね......」

男「今更だし、全然気にしてないぞ」

女「そうね、こんな授業中暇そうなやつには、かえってありがたいんじゃないかしら」

男「......それは言いすぎだろ」

友「あはは」

 

男「ほら、席ここな、杖は横に立てかけとくぞ」

友「ありがと、座るのは一人で大丈夫」

男「そうか、分かった」

クラスメイト「......」ガヤガヤ

男(こっちを気にしてるやつはいなくなったみたいだな......何だかんだ女に助けられたな)

女「案内、意外と様になってるじゃない」

男「......すまん、気を遣わせたな」

女「......なによ、頼りない案内人が突っ立ってたからどけただけよ」

男「助かった」

女「ん......」

友「......」

 

キーンコーン カーンコーン

女「それじゃあ、私は席戻るわね、友ちゃんまた後で!」

友「うん、また」

男「おーう」

友「......朝のあいさつで、またねって言われたの初めてかも」

男「確かに、男同士だったらあんまり言わないかもな」

友「そうだね......そういえば、カバンもらってもいい?」

男「あ、そうだった、俺が持ってるんだったな......というか、あんまり量ないんだな」

友「うん、教科書はほとんどあっても意味ないから、ほとんど音声データにしてもらったんだ」

男「なるほど......ノートとかも持ってきてないんだな」

友「そうだね、授業はほとんど録音することになると思う」

男「板書はどうしようかね?」

友「そうだね、実は男のノートを借りて、家でお母さんに読んでもらおうかと思ってたんだけど......隣にいてくれるんだったら、男に読み上げてもらって、授業と一緒に録音できるとありがたいかも」

男「なるほど、友母さんに手間はかけさせられないしな、任せてくれ」

友「ありがとう、お願いね」

 

友「それじゃあ今のうちに席をくっつけておいた方が良いかな」

男「そうだな、こっちの席をそっちに寄せるな」

友「うん、お願い」

机 ガガガガガ

男「よし、こんなもんかな」

友「......なんか、やっぱり真っ暗だと、男が近くにいた方が安心するかも」

男「......そうか、まあ、なるべく近くにいるようにするよ」

友「うん、ありがと......」

男「おう......何だかお礼言われてばっかりだな」

友「どれだけ感謝してもし足りないからね」

男「うーん、何か照れくさいな......」

友「あはは、まあすぐに慣れるよ」

男「いや、慣れるのが良い訳でもない気もするが、まあいいや」

扉 ガラガラガラ

先生「おーい、授業始めるぞー」

 

ーーー

キーンコーン カーンコーン

教室 ガヤガヤ

友「ふぅ、やっと午前の授業終わったね」

男「おーぅ......」グデー

友「......大丈夫?」

男「いや、こんな真面目に全部の授業受けたの久々で......」

友「いつも1、2時間目とか眠そうだもんね」

男「何とか朝起きれるようにはなったんだけどなー」

友「それも僕が毎朝連絡してるからじゃないの?」

男「そういえばそうだな......いつもありがとな」

友「うーん、確かに何か照れくさいかも......」

男「お互いさまだな」

 

男「んじゃ、昼飯にするか、友は何か用意してるのか?」

友「うん、お母さんにお弁当作ってもらったよ」

男「そっか、じゃあちょっと俺は購買に行って買ってくるな」

友「あっ、ちょっと待って、今日はお母さんに二人分作ってもらったんだ」

男「マジか!友母さんのご飯美味しいんだよなー、めっちゃありがたい」

友「あはは、お母さん、男にはお世話になるからって、これから毎日作る気みたい」

男「あー......いや、流石に毎日は申し訳ないな......後で友母さんに言って今日だけにしてもらうか」

友「そんな理由で、うちのお母さんが作るのやめると思う?」

男「うーむ......ものすごい押し問答になる気しかしないな......」

友「そうそう、言うだけ無駄だよ、すごく楽しそうにお弁当作ってたし」

男「容易に目に浮かぶ光景だな......」

 

友「......でも、ちょっとお弁当の前に......」

男「ん?何だ?」

友「トイレ行きたいかも.......」

男「ああ、了解、それじゃ案内するな」

友「うん、お願い」

扉 ガラガラガラ

男「廊下出たから、右に向かうぞ」

友「うん、分かった」

男「なんか、最近結構友母さんの料理を食べてる気がしてきたな」

友「そうだね、僕の家に来るときは大体無理やりにでも食べさせられてるもんね」

男「美味しいからありがたいんだが、よその家の食卓にお邪魔するのって、何か遠慮しちゃうよな」

友「あはは、確かに、僕もたまに男の家で食べるときは、少し遠慮しちゃうな」

男「うちの母さんは、いつも友はもっと食べないのかって心配してるけどなー」

友「そうだったんだ、それは初耳だな」

男「そうそう、じゃあトイレ入るぞー」

友「うん」

女「いや、ちょっと待ちなさいあなたたち」

 

男「おう?女か、どうしたんだ?」

友「女さん?どうしたの?」

女「どうしたじゃないわよ、何で二人して男子トイレに入ろうとしてるのよ」

男「あ゛......」

友「あっ......」

女「男はともかく、友ちゃんもちょっとは疑問持ちなさいよ......」

友「えーっと、何だか話に没頭しちゃって......」

男「そ、そうだな、話に集中してたからな、仕方ないな」

女「あんた......友ちゃんに変なことしようとした訳じゃないわよね」

男「いやいやいやいや、滅相もございません」

女「はぁ......ほんとしっかりしなさいよね全く......」

 

女「まぁいいわ、とりあえず、友ちゃんの女子トイレへの案内は私がして、教室まで送り届けるから、あなたは先に戻ってなさい」

男「お、おう、すまんな」

女「どういたしまして、さあ、行くわよ友ちゃん」

友「うん、ありがとう女さん」

男「はぁ......あっぶねぇ、何してんだ俺......完全に昔のままの感覚だったな......」

 

ーーー

女「ほら、友ちゃん、席の前についたわ」

友「うん、ごめんね、女さん、わざわざ案内させちゃって」

女「何言ってんのよ、私と友ちゃんの仲でしょ」

男「改めてすまんな、助かった」

女「はいはい、トイレの時は気とか遣わずに遠慮なく私に言いなさいよ、じゃあ私食堂行くから」スタスタ

男「ありがとなー」

友「ありがとうー、女さんー」

男「......いやぁ、まさかこんなことになるとは」

友「そうだね......僕も全然気付かなかったよ、男と話してたら、昔に戻ったような気がしたのかな?」

男「とにかく、女に助けられたな」

友「そうだね......」

 

男「まあ、気を取り直して弁当をいただきますか」

友「うん、そうだね、じゃあ食べようか」

男「さて、友母さんの弁当はどんなおかずなんでしょうかねー」パカッ

友「何が入ってる?」

男「おにぎりに、卵焼き、ミートボール、ほうれん草にプチトマト、スタンダードだけど、めちゃめちゃ旨そうだな......」

友「うんうん、僕と男の好物も入ってるね」

男「俺が卵焼きで、友がミートボールだっけか」

友「そうだよ、早速食べよっか」

男「そういえば、おにぎりはともかく、他のおかずはどうやってたべるんだ?もしかして......」

友「えっ?食べさせてくれるんじゃなかったの?」

男「やっぱりか!」

 

男「あのー......流石に学校でやるのは少し恥ずかしいんですけど.......」

友「いつも家で食べるときは男が手伝ってくれたから、つい......ごめん、嫌だったら何とか僕だけで食べるよ......」シュン

男「あー......いや.......何か友母さんもお箸一膳しか用意してないみたいだし、手伝うよ......」

友「ほんと?......ごめんね、食事までお願いしちゃって」

男「はいはい、というか、なんか楽しそうじゃないか?お前」

友「あはは、ごめんごめん、何だか男に食べさせてもらうと、偉い人になったような気がしてね」

男「へーへー、お嬢様、まずは何からお召し上がりになりますか?」

友「じゃあミートボールをもらおうかな」

男「はい、じゃあお口をお開け下さい」

友「はーい」アーン

 

男(ああ......俺は教室でいったい何をやっているんだ......)

友「......」アーン

男(うわぁ......男共が親の仇を見るような目でこっち見てやがる......)

友「......?」アーン

男(友も、こんなノリノリであーんを要求してくるとは、油断ならんやつだな......楽しそうな顔して口開けやがって)

友「......おとこ?まだー?」アーン

男(うーん、目をつぶって口開けて、普通なら馬鹿らしい表情なのに、何でこいつはこんな......)

友「......ちょっと男、大丈夫?」

男「え、ああ、すまん、ボーっとして......あっ!」ボトッ

友「え!?もしかして落としちゃった?」

男「ああ!すまん、ちょっとスカート汚れちまった......今すぐ拭k......」

友「?どうしたの?」

男「いや、ちょっとティッシュ出して場所教えるから、ちょっと自分で拭いてくれるか?」

友「う、うん、分かった」

男(だめだ......変に意識しちまってるし、スカート触るのはまずい......)

 

友「これで綺麗になったかな?」

男「うん、大体大丈夫だ、すまんな......」

友「いやいや、気にしないで、食べさせてもらってるんだし」

男「そうか、ありがとな」

男(違うんだ......今俺が謝りたいのは......)

友「じゃあ、もう一回ミートボールもらっていいかな?」

男「おう、任せてくれ......」

友「じゃあお願い」アーン

男(............ええい、ままよ!)

男「......はい」

「ん」パクッ

男「......美味しいか?」

友「うん、おいひい......」モグモグ

男「......そりゃよかった......」

 

男「これで最後だな、ほれ、ミニトマト

友「ん、あひがほ......」モグモグ

男「はぁ......長かった、こんな長い昼飯は初めてだ......」

友「お疲れ様、食べさせてくれてありがとね、美味しかったよ」

男「おう......それは何より......」

友「あはは、何とか僕だけで食べれるように練習するから、また何回かはお願いね」

男「ああ......そうしてくれ......」

 

ーーー

キーンコーン カーンコーン

男「はぁー!授業終わったー!」

友「お疲れ様、板書も録音できたし、すごく助かったよ」

男「そう言ってもらえれば何よりです......友は車で迎えに来るんだっけ?」

友「うん、今日はお父さんが来てくれるはずなんだけど、ちょっと仕事が遅れちゃってるみたいで、まだ時間がかかるみたいだけど」

男「そしたら、ちょっと行きたいところがあるんだが、来てもらってもいいか?」

友「うん、全然大丈夫だよ」

男「よし、じゃあ帰り支度ができたら行くか」

友「分かった」

 

扉 ガラガラガラ

男「ふぅ、着いたぞ」

友「えっと、ここは何処?」

男「図書室だ」

友「へぇ、珍しいね、男が図書室に用事なんて」

男「......まぁ、確かに俺はお前ほど本読まないしな.....ちょっとここに座って待ってもらっていいか?」

友「?......うん、分かった」

 

ドサドサッツ

男「こんなもんかな」

友「あ、男」

男「おう、待たせたな」

友「用事は済んだの?」

男「いや、まだこれからってとこだな」

友「?」

男「友は、今点字の勉強してるんだよな?」

友「うん......基本は分かってるんだけど、なかなかたくさん読むのは難しくって」

男「そう、そこで、ここの図書室で点字の本がないか探してもらったんだ」

友「え?」

男「なかなか見つからなくて、お前が好きそうな小説を取り寄せてもらったりしたが、これでお前も本を読みながら点字の勉強ができるかなと思って」

友「男......」

 

男「ひとつづつタイトル読んでくから、何か気になるのがあったら言ってな」

友「えっと、ごめん、取り寄せたやつもあるって言ってたけど、男が選んでくれたやつもあるの?」

男「あー......そうだな、大体司書さんに任せちゃったけど、この本とかは友が好きそうだなと思って」

友「そしたら、最初にそれが読みたいな」

男「あれ?そうか、じゃあこんなに持ってこなくて良かったな」

友「あはは、ごめんね、変なこと言って」

男「いやいや、好きなのを読んでくれればいいんだけどな」

友「......ありがと......」

男「おう、気にすんな」

友「さっそく読んでいい?」

男「ああ、じゃんじゃん読んでくれ」

 

友「............もう少し、そっちに寄ってもいい?」

男「?問題ないぞ?」

友「うん、ありがとう」

椅子 ガガガ

男「読めそうか?」

友「うん、大丈夫」

男「そうか......」

友「......」

 

男「......」

友「......男?」

男「......zzZ」

友「寝ちゃったのかな?」

男「......」

友「今日は、何から何まで、ありがとね」

友「ほんとに、男がいてくれて良かった」

友「男がそばにいて、気にかけてくれて、本当に嬉しいんだ」

友「でも、本当は、僕ね......」

男「......ンガッ」

友「!」

男「......zzZ」

友「はは、僕もなんだか眠くなっちゃった......」

友「肩......借りるね......」

男「......グーグー」

友「......スースー」

 

 


===

婆『あら、また会ったね』

友『あっ......あなたは......』

婆『上手くやっとるかね?』

友『まぁ......はい』

婆『あたしがあなたにしてやったこと、無駄にするんじゃないよ』

友『はい......もちろんです......』

婆『もし無駄になんてしたら、その時は......』

友『はい......分かっています』

婆『そうかい......』

===

 

 


ーーー

女「友ちゃん?話って何?急に呼ばれてびっくりしちゃった」

友「ごめんね、なかなかタイミングなくって」

女「?そういえば、男はいないの?いつも一緒にいるのに」

友「......うん、男は、先生に頼まれごとされてていないんだ」

女「そう......」

友「じゃあ、早速用件なんだけど」

女「うん、どうしたの」

友「女さんって......」

 

 

 

 

 

 

 

 


友「......男のこと、好きだよね?」

 

  

***

 

個人的には結構盛り上がってまいりましたが、本日はここまでになります。

来週も12/17(木)に更新する予定ですので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。